Xのタイムラインが使えない話 ― X API有料化というよくある困りごと

WordPressでサイトを運営している方なら、「ある日突然、Xのタイムラインが表示されなくなった」という経験、ありませんか?

私は WordPress で複数のサイトを管理しているのですが、最近になって「サイト内に埋め込んでいた X(旧Twitter)のタイムラインが、いつのまにか真っ白になっている」というご相談を立て続けに受けるようになりました。

「うちのサイト、なんかおかしいんだけど…」

サイトを開いてみると、確かに、これまで動いていたはずの X タイムラインの場所が、ぽっかりと空白になっている。原因を調べると、ほとんどのケースで行きつく先が同じでした。

X(旧Twitter)の API 有料化問題です。

今回はこの「よくある困りごと」について、なぜ起きているのか、どんな選択肢があるのか、そして私がとある音楽団体のサイトで実際に試した解決策を、少しお話したいと思います。


目次

何が起きているのか

少し時系列を整理してみますね。

X(当時の Twitter)は、長らく無料で API(=他のサービスから X の情報を取得したり、投稿を表示したりできる仕組み)を提供してきました。WordPress サイトの片隅にある「サイドバーに最新ツイートを並べる」あの機能も、この API を裏で使っていたものです。

ところが、X のオーナーが変わってから、この方針が大きく変わりました。

無料で使えていた API が 有料化 され、しかも個人や中小サイトには現実的でない価格設定になったのです。

代表的なプランは:

  • 無料プラン:投稿だけ可能。読み取り(タイムライン表示)は不可
  • Basic プラン:月額100ドル(約15,000円)
  • Pro プラン:月額5,000ドル(約75万円)

(※ 価格は2026年5月時点のもの、よく価格が変わるので違う可能性あり)

「ちょっと埋め込みを表示したいだけ」のサイトにとって、月額15,000円というのは正直、見合わない金額です。それを払って、ようやく「以前は無料で当たり前に動いていた機能」が戻ってくる、という状況なんですね。

そしてこの影響を一番モロに受けたのが、「これまで普通に X タイムラインを埋め込んでいた WordPress サイト」でした。


公式の埋め込みコードは「動くけれど…」

「いやいや、X の公式サイトに行けば、今でも『埋め込みコードを生成する』機能はあるよね?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

その通りで、現在でも X 公式の埋め込みコードは生成できます。<blockquote class="twitter-tweet"> で始まるあのコードですね。

しかし、これにもいくつか問題があります。

1. 表示が不安定

特に「タイムライン全体」を埋め込む場合、表示までに時間がかかったり、何も表示されないままになったり、表示崩れが起きたり、という現象がよく報告されています。サイトを開くたびに「あれ、今日も真っ白だな」と気を揉むことになります。

2. デザインの自由度がほぼゼロ

X の埋め込みは、X 側のデザインがそのまま反映されます。サイトの世界観に合わせて文字色を変えたり、レイアウトを整えたり、ということが基本的にできません。サイト全体のデザインを丁寧に作り込んでいるのに、そこだけ X のままになってしまう、というのは美意識の高い運営者にとっては結構なストレスです。

3. プライバシー・パフォーマンスへの影響

X の埋め込みコードは、X のサーバーに対して通信を行います。これはサイトを訪れた人の情報が X 側にも渡る、ということを意味します。また、外部リソースを読み込む分、ページの表示速度も遅くなります。

4. そもそも、いつまで動くのかわからない

これが一番怖いところです。X 社の方針は、これからもまた変わるかもしれません。今は動いている埋め込みも、半年後にはまた使えなくなる、という可能性を抱えながら運用することになります。


とある音楽団体Aのケース

私が管理しているサイトの中に、コンサート情報を発信する団体さんのサイトがあります。

このサイトは、たくさんの公演情報を載せる関係で、お客さま向けに 「最新のお知らせを X 経由でリアルタイムに発信する」 という運用を大切にしてきました。サイドバーには X のタイムラインが埋め込まれていて、「次の公演はこれです」「チケット発売開始しました」「会場が変更になりました」といった生きた情報が、つねに目に入るようになっていたんです。

ところが、ある日を境にそのタイムラインが消えました。

担当の社員さんから「X のところ、表示されなくなっちゃったみたいなんですけど…」とご連絡をいただいて、私もすぐに調べはじめました。

正直に言うと、初めは「埋め込みコードを再生成すれば直るかな?」くらいの軽い気持ちでした。でも、調べていくうちに、これが先ほどお話しした X API 有料化問題 の影響だとわかってきたんです。

「埋め込みコードを貼り直す」だけでは解決しない。
「お金を払う(月額15,000円?〜)」のは、コンサート団体のような非営利の運営にとっては現実的じゃない。
「公式埋め込みに戻す」も、結局また不安定になる可能性がある。

どうしたものかな、と頭を抱えました。


選択肢を整理してみる

落ち着いて、当時の選択肢を整理するとこんな感じでした。

選択肢コストデザイン自由度安定性
A. X API を有料契約する月額15,000円〜△◯(X次第)
B. 公式の埋め込みコードを使い続ける0円×△(壊れがち)
C. 別のサービスに乗り換えるプランによるサービスによるサービス次第
D. 「X のタイムライン表示」自体をやめる0円––

C の「別のサービス」というのは、たとえば「Embed Social」や「Twitter Feed Pro」のような、X 連携をサポートする有料サービスのことです。これらは API 利用料を肩代わりしてくれる代わりに、月額利用料を取るモデルですね。これも結局、月額数千円〜のコストになります。

D の「やめる」も一つの選択肢ですが、東京労音さんにとって X からの情報発信は大事なチャネルです。完全にやめてしまうと、お客さまへの告知ルートが減ってしまいます。

どの選択肢も、しっくりこない。

そこで、私はもう一つの選択肢を考えました。

E. そもそも「X のタイムラインを取ってくる」のではなく、「X 風のお知らせを WordPress 側で管理する」仕組みを作る

つまり、X からの情報を読み込むのではなく、X と同じ内容を、自分のサイトのデータベースにも持っておくという発想です。


「X 風お知らせ」という発想

考えてみると、東京労音さんが X で発信している情報は、ほとんどがサイトでも発信したい内容です。「次の公演はこれです」「チケット発売開始しました」というのは、X だけでなく、サイトを直接見にきた人にも伝えたい情報のはず。

だったら、こうすればいいんじゃないか?

  1. WordPress の管理画面で、X に投稿したい内容を 「お知らせ」として書く
  2. 書いた内容を、ボタンひとつで X の投稿画面に流し込んで 投稿する
  3. WordPress 側にも、その内容が タイムライン形式で表示される

こうすれば:

  • ✅ X API はまったく使わない(完全無料)
  • ✅ X の埋め込みコードも使わない(壊れない)
  • ✅ デザインはサイトに合わせて自由に作れる
  • ✅ サイトと X の両方に同じ情報が載る
  • ✅ X 社の方針変更があっても、サイト側は影響なし

この発想で、WordPress プラグインを作ってみることにしました。

それが、私が今 SINQWELL で開発している「SINQWELL X Notice」というプラグインです。


どんな仕組みなのか(概要だけ)

詳しい仕組みは次の記事でじっくりお話しするとして、ここでは概要だけご紹介しますね。

管理画面側はこんな感じです:

  • 「X お知らせ」という専用の投稿エリアが管理画面に追加される
  • タイトル(任意)、本文、画像を入れて「公開」を押すと、お知らせとして保存される
  • 公開後に「X に投稿する」ボタンが出てくる
  • ボタンを押すと X の投稿画面が新しいタブで開いて、本文とサイトの URL が自動入力されている
  • あとは画像を X 側にアップして投稿するだけ

サイト側はこんな感じです:

  • ショートコード [x_notice] を貼った場所に、お知らせが時系列で並ぶ
  • スクロールできる「タイムライン風」の見た目
  • 各お知らせには「X で見る」ボタンを表示できるので、X の投稿にも誘導できる

要するに、「X に投稿する作業」と「サイトに掲載する作業」を、ひとつの管理画面でまとめて完結させる仕組みです。これによって、X が壊れていようがいまいが、サイト側のお知らせは常に元気に表示される、というわけです。


現在テスト中

今、2つのサイトで、このプラグインのテストをしていただいているところです。

「最新の公演情報を、サイトのサイドバーにスクロールできる X 風タイムラインとして並べる」という形にしていて、社員のみなさんからも「これは楽でいい」と好評いただいています。

そして、お知らせを作る作業そのものは、X に直接投稿するのとほぼ変わらない手間で済むようになりました。むしろ、サイトに自動的に同じ内容が並ぶ分、トータルで見れば作業量が減っている、と言っていただけています。


まとめ:「壊れた埋め込み」は、もう諦めなくていい

X API の有料化は、多くの WordPress サイト運営者にとって本当に困った問題です。でも、

  • 「X API を使う」前提を、いったん手放してみる
  • 「X に投稿する作業」と「サイトに表示する内容」を分けて考えてみる

この発想の転換ができると、お金をかけずに、安定して、デザインも自由な「X 風お知らせ」が手に入ります。

私自身、自分のサイトや、お客さまのサイトで使ってみて、本当にラクになりました。同じ困りごとを抱えているサイト運営者の方が、もしいらっしゃったら、ぜひこの発想を参考にしてみてください。


次回のお知らせ

次の記事では、「X API を使わずに、どうやって X 風タイムラインを実現したのか」という、技術的な工夫の話をしようと思います。

  • X の投稿画面に自動でテキストを流し込む方法
  • WordPress の管理画面に専用の投稿タイプを追加する方法
  • 投稿の URL を短くするちょっとした工夫
  • ブロックエディタとの相性問題を解決した話

など、開発の裏話も交えながらお話しします。きっと参考になる内容かなと思います。

そして3記事目では、このプラグインを 「他のサイトでも使えるかたち」 にして配布する話、つまり GitHub での管理や、将来的にプラグインとして販売することを考えている、というお話をしますね。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました 🙌


この記事は、WordPress プラグイン「SINQWELL X Notice」シリーズの第1回です。

SINQWELL では、WordPress プラグインの開発・カスタマイズ・導入代行も承っています。同じ困りごとを抱えていらっしゃるサイト運営者の方、お気軽にご相談ください。

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