「月謝袋アプリ」に韓国語対応(v1.7.0)を入れる作業の途中、RevenueCatの管理画面で 2つの宝 を見つけました。
ひとつは 既存ユーザーの権利を守ってくれる「Entitlement の Attach」。
もうひとつは お客様ひとりひとりを記憶できる「Customer history のメモ機能」。
どちらも「もっと早く知りたかった!」と思える発見でした。同じく RevenueCat を使っている indie dev の方の参考になればと思い、書き残しておきます。
はじまりは、ぞっとした午後
韓国語対応のついでに、App Store Connect・Google Play Console・RevenueCat を一通り見直していた時のこと。
RevenueCatの Products タブを開いて、ハッとしました。
| ストア | 商品 | Status | Entitlements |
|---|---|---|---|
| App Store | premium_lifetime | Could not check | 1 Entitlements |
| App Store | premium_features | Could not check | 🔴 Attach(=未紐付け) |
| App Store | プレミアムプラン 月額 | Could not check | 1 Entitlements |
premium_features という商品の Entitlements 欄に、「Attach」という青いリンクが表示されている。これは「まだ Entitlement に紐付いていない」という意味です。
premium_features は、月謝袋アプリの初期に作った ¥800の買い切り版 プレミアム商品。価格設定の試行錯誤で、その後 ¥2,800 の premium_lifetime に切り替えたため、現在は使われていない過去の商品です。
ただ、過去にこの ¥800 を払って永久プレミアムを購入してくれたお客様が 3〜4人 いるんです。
「未紐付け」が何を意味するか
ここで一瞬、頭が真っ白になりました。
RevenueCat が App Store から「このユーザーは premium_features を所有している」という情報を受け取っても、Entitlement に紐付いていなければ、アプリ側は「プレミアム権利あり」と判定できない。
つまり、こういうことです:
過去ユーザー(¥800で premium_features 購入)
↓ アプリ起動
RevenueCat: 「このユーザーは premium_features を購入済み」
↓
RevenueCat: 「premium_features の Entitlement... 紐付いていない」
↓
アプリ: Entitlement なし = プレミアム機能が使えない 🚨
¥800 を払ってくださった3〜4人の方が、もしかしたら アプリを起動した時に「あれ?プレミアム機能が消えてる?」 と困っていたかもしれない。
これに気づいた瞬間、本当にぞっとしました。
救世主: Attach ボタン
幸い、RevenueCat には簡単に紐付けを修正できる仕組みがありました。
修正手順
- Products タブで
premium_featuresの行の 「Attach」 をクリック - ダイアログが開いて、紐付ける Entitlement を選択
SINQWELL/Monthly Fee Stamp Pro(月謝袋アプリの唯一の Entitlement)を選択- 「Attach」ボタンをクリック
これだけで、premium_features を所有しているユーザーは、次回アプリを起動した時点で 自動的にプレミアム機能が復活 します。コード変更も再ビルドも不要、本当にあっけないくらいシンプルでした。
何が起きるか
過去ユーザー(¥800で premium_features 購入)
↓ アプリ起動
RevenueCat: 「premium_features を所有」
↓ Attach により紐付き完了!
RevenueCat: 「→ SINQWELL/Monthly Fee Stamp Pro Entitlement あり」
↓
アプリ: customerInfo.entitlements.active に Pro が存在
↓
✅ プレミアム機能解放
教訓
RevenueCat に商品を登録したら、必ず Entitlement に紐付けを確認する。
これだけです。当たり前のように見えて、商品の整理(古い商品の整理、新商品の追加)を繰り返すうちに 抜け落ちることがあります。
特に注意すべきタイミング:
- 価格変更で新商品を作った時(古い商品が放置されがち)
- 商品名やIDをリネームした時
- A/Bテスト用の商品を作った時
- 過去の商品を整理しようとして無効化した時
商品を作る・整理する作業が発生したら、必ず Products タブで すべての商品が「N Entitlements」になっていることを確認しましょう。「Attach」のリンクが見えていたら、それは未紐付けのサインです。
そして、3日前のお客様
Entitlement の紐付けを修正した直後、Recent transactions の画面で もうひとつの発見 がありました。
| Customer ID | Product | Purchased | Type | Revenue |
|---|---|---|---|---|
| 4zDT••••mQn2 | premium_lifetime | 3 days ago | ONE TIME | $17.76 |
3日前(2026-05-06)に、誰かが ¥2,800 で永久プレミアムを購入してくれている!
嬉しい!…と思った直後、また別の不安がよぎりました。
「もしかして、これは過去に¥800を払ってくれたユーザーが、premium_features 機能が使えなくなって、新たに¥2,800で買い直したんじゃないか?」
もしそうなら、私の Entitlement 紐付け忘れで余計な出費をさせてしまったことになります。お詫びして返金しないと…と覚悟を決めて、確認に向かいました。
Customer history という宝物
RevenueCat の Customer ID をクリックすると、Customer profile という画面が開きます。
そこには Customer history というセクションがあって、そのユーザーの すべての購入履歴・アプリ起動履歴・解約履歴 が時系列で並んでいました。
2026-05-08 01:27 UTC Last opened the app
2026-05-06 10:22 UTC Made a purchase of premium_lifetime for JPY 2,800
2026-03-29 06:02 UTC First seen using the app
完全にクリーンな履歴。過去の premium_features 購入記録は一切ありませんでした。
つまりこの方は:
- 🇯🇵 日本のユーザー(Country: Japan)
- 📅 2026年3月29日 に初めてアプリを使い始めた
- 💰 2026年5月6日(3日前)に ¥2,800 で買い切り版を購入
- 📱 昨日もアプリを使っている = アクティブユーザー
つまり、月謝袋アプリを発見して、5週間使ってみて、気に入って永続プレミアムを購入してくれた、完全に新規のお客様 だったんです。
ぞっとしていた気持ちが、一気にほっとして、それから嬉しさに変わりました。
メモ機能で「記録」する
そして Customer profile には、もうひとつ素敵な機能が。
Notes
+ Add note
Add notes to keep track of past interactions with this customer.
お客様ひとりひとりに、自由なメモを残せるんです。
私はすぐに、この方に対してメモを書きました。
2026年3月29日からアプリ利用開始。約5週間の試用期間を経て、永続プレミアム購入を決定。日本のユーザー、アクティブ利用中。月謝袋アプリ初の永続プレミアムユーザー🎉
たぶんこの方には一生お会いすることはないでしょう。でも、こうしてメモを残しておくと、後で振り返った時に この方の特別さを覚えていられる。
indie dev として、ひとりひとりのお客様の物語を記録できる場所があるって、本当に嬉しいことだなと思います。
メモ機能の使いどころ
実際に使ってみて、Customer メモは indie dev にとって 思っていた以上に大事な機能 だと感じました。具体的にこんな場面で活躍しそうです:
🎉 喜ばしいメモ
- 初めての有料ユーザー
- 長期間使い続けてくれているリピーター
- フィードバックをくれた方
- レビューを書いてくれた方(購入と紐付けて)
📝 業務的なメモ
- 問い合わせ履歴(返金対応、不具合報告など)
- 特殊なケース(法人購入の問い合わせ、ライセンスの相談)
- 過去の不具合に巻き込まれたユーザー(個別フォロー必要)
🛡️ リスク管理のメモ
- 不正利用の疑いがあったユーザー
- チャージバック対応をしたユーザー
- アカウント問題が発生した経緯
CRM(顧客管理)を別途用意しなくても、RevenueCat だけでお客様の物語を記録できる。これは本当に「宝」と呼べる機能です。
2つの宝のまとめ
宝① Entitlement の Attach
やるべきこと: Products タブで全商品が Entitlement に紐付いているか定期チェック。「Attach」リンクが見えていたら即対応。
気づきポイント: 商品の整理・新規追加・リネームを行ったタイミングで紐付けが抜けやすい。
影響範囲: 紐付け忘れた商品を購入した既存ユーザー全員のプレミアム機能利用に影響。
宝② Customer history のメモ機能
やるべきこと: 印象的なお客様の購入履歴に、自由なメモを残しておく。
気づきポイント: 「+Add note」ボタンは小さくて見落としがちだが、indie dev にとって本当に役立つ機能。
メリット: 顧客ひとりひとりの物語を記録できる。問い合わせ対応や個別フォローの履歴も残せる。
余談: indie dev の喜び
3日前のお客様の Customer history を見ながら、こんなことを考えていました。
App Store Connect の管理画面では、お客様は数字としてしか見えません。「今月の売上 ¥X,XXX、購入者数 N人」。
でも RevenueCat では、ひとりひとりの 物語 が見える。「このユーザーは2026年3月29日に初めてアプリを使い始めて、5週間使い続けて、5月6日に永続プレミアムを買ってくれた」。それを知ると、ただの数字だった購入者が、3日前のお客様 という具体的な存在になります。
大手アプリ開発会社では、こんな粒度で見ることはないと思います。でも indie dev は違う。たった一人のユーザーが、私のアプリを気に入って、永続プレミアムを選んでくれる。それが嬉しくて、それが続ける力になる。
そういう気持ちを支えてくれる機能があるって、本当にありがたいことだなと感じます。
まとめ
韓国語対応の作業のついでに、RevenueCat を見直してみてよかったです。
- ✅ Entitlement 未紐付けの修正で、過去ユーザー3〜4人のプレミアム権利が復活
- ✅ Customer メモで、初の永続プレミアムユーザーを記録
- ✅ ぞっとして、ほっとして、嬉しくなった一日
同じく RevenueCat を使っている indie dev の方は、ぜひ一度 Products タブと Customer profile を見直してみてください。あなたのアプリにも、こんな「宝」が眠っているかもしれません。
